被災地に行って

月日の経つのはあっと言う間だ。
しかし、例え月日が流れても忘れられない事もある。
3月11日の大震災から2ヶ月以上がたった。
これまでも大惨事が起きて、不幸にも命を落とされた方のご冥福を祈り
自分の足もとを見つめ直した事があったが、
今回の大震災は、その被害の甚大さから、当事者ではない自分にとっても衝撃的な出来事だった。
5月15日、宮城県の復興事業で本業であるサッカーコーチとして
子供達の為のサッカー教室のお手伝いをした。
子供達を励ますつもりだったが、その子供達の瞳、真っ直ぐな心に触れて、
逆に私自身が励まされてしまった。

そんなサッカー教室を2つ終え、自分の目で見た方が良いですよと言われ、
沿岸部に連れて行ってもらった。
多賀城石巻、女川・・・。言葉を失った。
映像では見てきたが、実物を見ると
あまりの凄さに逆にリアリティを失ってしまい、呆然とするだけになってしまう。

そんな被災地を見てきた後で、たまたま仕事先でお会いした方。
その方は、普段、中学生にサッカーを教えていらっしゃる。
その日も熱心にメモを取りながら、サッカーの指導法を勉強されていた。
たまたま、震災の話しになった。
その方の実家は岩手県だそうだ。
郷里に残してきたお母さんが家ごと津波でもっていかれてしまったとのこと。
付近に住んでいた親戚の方々もみんな行方不明。
淡々した話し方だけに余計に重みが伝わってくる。
行方不明のお母さんを捜しに安置所を巡られたそうです。
千体近くのご遺体を見て回られ、
中にはかなり損傷しているご遺体もあったとのこと。
似ている方のDNA鑑定もお願いされたそうです。
しかし、未だにお母さんは見つかっていないそうです。
そして親戚の方も殆どが行方不明。

それでも、子供達にサッカーを教える為に、勉強されている姿。
頭が下がりました。

自分が今、こうして生きている事の不思議さ、
そして意味を改めて考えさせられる出来事でした。
生きている。いや、生かされている。
生かされている、この人生。
その意味を考えつつ、今、生きている事の幸せを噛みしめようと思う今日この頃。
1日を大事に生きようと改めて思う。